2019年10月1日(火)、秋季闘争第2回団交において会社から以下の前進回答を得ました。昨年の秋季闘争から1年間、春闘でも一時金闘争でもJMITU支部が粘り強く交渉してきた成果です。10月23日から年末一時金闘争が始まりますが、秋季闘争を引き続き並行して交渉します。
【「不合理な待遇差」を解消する要求に対する回答】
1.再雇用社員に住宅手当と家族手当を支給すること。
来年度4月より支給を行います。
2.パートタイマと再雇用社員の一時金の支給月数を、正社員と同一にするこ
と。
現在は考えておりません。現時点でのパートタイマと再雇用社員の労働条件や生産
性、再雇用社員については年金支給額を含めたトータルの収入状況を総合的に鑑みれ
ば、当該待遇差は合理的であると解しています。なお、この点についての雇用状況や
社会情勢等を踏まえた議論は継続すべきとの認識です。
3.再雇用社員の基本給を、直ちに退職時の70%(ただし時給換算で1500
円を下回らない)とすること。その後80%以上とすること。
一昨年度の春闘にて55%~60%に引き上げており、さらに引き上げることは、現
在は考えておりません。現時点での再雇用社員の労働条件や生産性、年金支給額を含
めたトータルの収入状況を総合的に鑑みれば、当該待遇差は合理的であると解してい
ます。なお、この点についての雇用状況や社会情勢等を踏まえた議論は継続すべき
との認識です。
4.再雇用社員の労働条件改善は、個々の契約更新時期によらず、一斉に行うこ
と。
要求の内容により適時判断します。
5.高田組合員の再雇用労働条件について、比較対象となる正社員と①職務の内
容、②職務の内容・配置の変更の範囲、➂その他の事情(成果、能力、経験
など)のうち、個々の待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものに
基づいて、待遇差を設けている理由を具体的・定量的に説明すること。
高田組合員について、上記1乃至4の他に待遇差があるとの認識は有しておりませ
ん。当該1乃至4については、上記回答のとおりです。
【ハラスメントをなくす要求に対する回答】
1.就業規則のけん責の理由(47条)、減給、出勤停止または降職・降格の理
由(48条)、懲戒解雇の理由(49条)に、パワーハラスメントを含むす
べてのハラスメントを加えること。
来年度4月改定に加える方向で、検討を進めます。但し、「すべてのハラスメント」
となると、就業規則の懲戒自由の規定としては範囲が広すぎ、労働者に不測の損害を
与えかねないことから、ハラスメントとして広く認識され、ある程度公的な定義がな
されている、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメン
トに限定する考えです。
<解説>
1.「不合理な待遇差」を解消する要求での前進回答は、JMITU支部が粘り
強く交渉してきた成果です。
【再雇用社員の住宅手当と家族手当支給について満額回答を得ました】
再雇用社員に対する住宅手当と家族手当の支給について、会社はこれまで「認められ
ない」としながら、
・今年の春闘では「会社は、世間の動向を注視し、秋闘等にて議論したいと考えてお
ります」と回答しました。
・さらに、夏季一時金闘争では、「会社は継続して世間動向を注視し、検討を継続し
ており、秋闘にて回答したいと考えております」と前進しました。
この秋闘で満額回答を得られたのは、再雇用社員に住宅手当と家族手当を支給しな
いことが「不合理な待遇差」であることをJMITU支部が事実で示し、粘り強く交
渉してきた成果です。
【パートタイマと再雇用社員の一時金支給月数、再雇用社員の基本給の水準に
ついては、今後につながる回答を得ました】
・パートタイマと再雇用社員の一時金支給月数を、正社員と同一とすること。
・再雇用社員の基本給を、直ちに退職時の70%(ただし時給換算で1500円を下
回らない)とすること。その後80%以上とすること。
上記の2点について会社は「現在は考えておりません」として受け入れませんでした
が、「なお、この点についての雇用状況や社会情勢等を踏まえた議論は継続すべきと
の認識です」と回答して、今後の労働条件改善に含みを残しました。
JMITU支部は、その背景を以下のように推測しています。
①国家公務員の定年延長に伴い、60歳超の国家公務員の「年間給与」を50歳代後
半の70%に設定するべきとの意見書を、人事院が政府に提出しました。
②「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され、「同一労働同一賃金ガイドライ
ン」も適用となります。大企業は2020年4月(中小企業は2021年4月)ま
でに「不合理な待遇差」を解消する法的義務を負っています。したがって、来年4
月までには、正社員と比較した非正規労働者(再雇用社員やパートタイマなど)の
労働条件に一定の相場が形成されると思われます。東京測器の非正規労働者の労働
条件(基本給や一時金)が、その相場より劣る可能性があります。
➂今後は青年の新規採用がますます難しくなる可能性があります。会社を継続してい
くためには、定年後再雇用社員やパートタイマなどの非正規労働者の労働力に依存
せざるを得なくなる可能性が高い。モチベーションを維持していくためには、それ
なりの労働条件が必要となります。
JMITU支部は、再雇用社員などのモチベーションを維持することに成功した企業
が生き残る時代だと考えています。 引き続き、労働条件の改善に取り組んでいきま
す。
2.「ハラスメントをなくす要求」に対する回答は、一歩前進と受け止めます。
就業規則の懲戒規定を、「すべてのハラスメント」ではなく、「パワーハラスメン
ト、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントに限定」して改定するとの回
答でしたが、一歩前進と受け止めます。
会社は管理職に対してハラスメント防止の講習も実施しているとのことです。ハラス
メントの無い、働きやすい職場を労使の協力で作っていきましょう。
もしも、ハラスメントを受けていると感じたときは、JMITU支部にご相談くださ
い。