【2018年秋季闘争の重点課題】
1 .人事院は、60歳超の国家公務員の年間給与を70%に設定する意見
書を政府に申出しました。
その根拠は、民間企業の60歳代前半の正社員の年間給与水準が、
50歳代 後半の約70%であることです。
東京測器でも、年間給与で直ちに70%、その後は80%以上に底げ
することを求めます。
(1)JMITU支部の取り組みが再雇用社員の賃金底上げにつながりました。
昨年(2017年)の春闘で、再雇用社員の賃金の底上げ(定年時の50%→55%)
が実現しました。非管理職で月額1.5万円~2万円の賃金引上げになると思われま
す。また、一時金のベースも大きくなります。これにつながったのは、2016年秋季
闘争で、再雇用社員の賃金について「無年金期間に関しては、今後検討が必要と考えま
す」との回答でした。会社は、春闘の団交で「昨年の秋闘を踏まえて回答しました」と
いう主旨の発言をしています。
(2)再雇用社員の本音は「せめて80%はほしい」。
この改善は「一歩前進」と言えますが、まだ十分なものではありません。再雇用社員
は、現在も賃金に大きな不満を持っています。政府の「高齢者雇用継続給付金」は、定
年時の賃金の75%未満の場合に支給されます。これは、給与が75%未満の場合は、
生活を支えるために金銭補助が必要であることを示しています。再雇用社員の本音の多
くは、「せめて80%はほしい(支給すべきだ)」というものです。
(3)再雇用社員の意欲を維持するためにどう処遇するかは会社の重要課題。
少子化の影響などで、特に中小・中堅企業では新規採用がままならなくなってきていま
す。65歳までの継続雇用は、日本のすべての企業に義務付けられていて、60歳以上
の従業員の比率は今後一定の割合まで増加するはずです。これからは企業活動の少なく
ない部分を、60歳以上の再雇用社員に担って貰わなければなりません。
人事院も意見書(骨子)の中で「少子高齢化が急速に進展し、若年労働力人口が減少。
意欲と能力のある高齢者が活躍できる場を作っていくことが社会全体の重要課題」と指
摘しています。
会社が考えるべきことは、再雇用社員をより一層活用すること、モチベーションを維持
してより一層業務に貢献してもらうことです。これに成功した企業が生き残る時代だと
言えます。したがって、再雇用社員のモチベーションを維持するためにどう処遇するか
が、会社の重要課題になります。
このような観点から、以下のとおり継続雇用の労働条件の改善を求めます、
①「正社員と同等時間勤務」「短時間勤務」ともに、直ちに退職時の70%(ただし時
給換算で1500円を下回らない)とすること。その後80%以上とすること。
②「正社員と同等時間勤務」「短時間勤務」ともに、家族手当と住宅手当を支給するこ
と。
③一時金は正社員、パートタイマの妥結月数を継続雇用者に支給すること。
企業規模 |
50歳代後半層の年間給与 (正社員の管理・事務・技術労働者) |
60歳代前半層の年間給与 (正社員の管理・事務・技術労働者) |
10人以上 | 749.0万円 | 515.2万円(68.8%) |
100人以上 | 850.8万円 | 596.7万円(70.1%) |
・「賃金構造基本統計調査(厚生労働省)の平成27年~29年の結果を基に作成
2. 有給休暇を年間5日は計画的に付与することが義務化されました。
会社が一方的に時季指定するのではなく、労働者による有給休暇時季
指定権が尊重される取得率向上施策を求めます。
そもそも有給休暇の時季指定権は労働者のものであり、使用者には、経営を左右するよ
うな重大な影響を与える時季を指定された場合に、その時季の変更を申し入れる「時季
変更権」があるだけでした。
日本の有給休暇取得率が欧米先進各国と比べ極端に低く、50%を切っている状況
(2015年48.7%)を是正し、2020年には70%以上の取得率を実現すると
いう政労使目標を達成するため、「働き方改革一括法(労働基準法)」で年間5日間は
計画的に付与することが義務化されました。
会社によっては、支給した有給休暇5日について、労働者の都合で休まれるくらいな
ら、会社が決めた日に有給休暇を取らせた方が業務効率上有利などの理由で、労働者に
とって迷惑な時季指定をしてくる可能性が否定できません。
また、会社が指定すべき5日間について、厚生労働省は、労働者の意向を十分に尊重し
て決定する様に指導をしていますが、労働組合の監視が働かないと、この「十分に尊重
して」が軽視される可能性も否定できません。
(1)有給休暇の取得奨励施策の実施
①有給休暇支給日(基準日)以降、社内イントラネットや社内報、上司から有給休暇取
得率向上をめざしていることを全社員に日常的に周知すること。
②現期間の月締めによる全社、および、各課の取得率の開示を行い、労使の現状認識を
一致させ、合意協力型労使関係を前進させ取得奨励を図ること。
(2)労働者による有給休暇時季指定権が尊重される取得率向上施策の実施
労働者自身のリフレッシュ、育児、介護、怪我や疾病の治療等の為の休暇を確保するた
めに、労働者による時季指定権は限りなく尊重されるべきものです。しかし一方で、職
場の雰囲気などに押され休暇取得を申し出ない、また休暇を望まない労働者には、取得
奨励だけでは進まない場合があります。労働基準法で使用者に5日以上取得させること
を義務付けられた以上、使用者による時季指定を行う必要が無いとは言えません。
そこで、会社による時季指定の行使にあたっては、以下の仕組みによって行うことを求
めます。
①会社による時季指定は、基準日から1年間の期間の終わりの3ヶ月間に留め、それ以前
の休暇取得については、労働者による時季指定権を最大限尊重すること。
②基準日から1年間の期間の終わりの3ヶ月間に、会社による時季指定をやむを得ず行う
場合は、該当労働者の意向に配慮の上、時季を指定すること。
③基準日から1年間の期間の終わりの3ヶ月間であっても、それまでに既に5日間以上取
得している労働者については、会社による時季指定を原則として行わないこと。
④但し、労働者が、自ら指定しにくい状況があることを申し出て、会社による指定を希
望する場合においては、希望する日数について、該当労働者の意向に配慮の上、時季
を指定すること。
3. 定年退職日を誕生日ではなく、年度末の3月31日にすることを求め
ます。
かつて60歳から年金が満額支給されていた時代は、60歳の誕生日で定年退職することは合理性がありました。退職して賃金を得られなくなっても、直ちに年金が満額支給されたからです。
しかし現在は、今年度中に定年退職で再雇用となった男性従業員は63歳まで無年金です。女性従業員も61歳まで無年金となりました。そして、3年後の4月2日以降に定年退職を迎える男性は65歳まで無年金になります。さらに、8年後の4月2日以降は男女ともに65歳まで無年金になります(表2参照)。
したがって、誕生日を以って定年退職する合理性は今や無いといえます。むしろ、誕生日に関わらず、年度末の3月31日を全員一斉の定年退職日とする方が、以下の理由で合理性があるはずです。
①年度途中に、定年退職による欠員が出なくなる(必ずしも全員が再雇用を希望するとは限りません)。
②4月1日付の定期採用で一斉に入社したのに、定年退職日はバラバラで、退職する場合は受け取れなかった一時金を、再雇用の場合は満額ではない一時金を満額受け取れる。
JMITUでは、組合の要求に応じて、あるいは会社が組合に提案して定年退職日を3月31日に変更した企業が増えています。東京測器でも変更を求めます。